さて、核心に迫りましょう。
ライブドアの転換社債に転換価格の修正条項がついていて、それが157円だというお話はこの前しました。この転換社債にはもう一つの条項がついていて、プレスリリースの最後にほんの数行でこう書いてあります。
「今回の
資金調達に伴い、当社筆頭株主及び代表取締役社長兼最高経営責任者である堀江貴文は、その保有する当社発行普通株式の一部をリーマン・
ブラザーズ証券グループに貸借する合意を行っております」
つまり、堀江氏は自分の保有するライブドア株式をリーマンに貸し出すと言っているのです。株を借りてリーマンはどうするのか。空売りです。ということで、最近のメディアの一般的な解釈は
−リーマンが転換社債を引受
−転換社債の転換価格は株価が下がればドンドン下がる
−リーマンはドンドン空売りをしかけ、株価が157円になったところで、転換社債を株式に転換し利益をがっぽり稼ぐ
−したがってライブドア株価は157円まで下がり続ける
つまり、リーマンは400円で空売りしておけば243円
儲かる、という説明になっています。この憶測を勢いづけるような記事が出ていました。
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【2月17日 22:54 テクノバーン】関東財務局が17日付けで受理した大量保有報告書によりリーマンブラザーズ証券が10日からライブドア <4753> 株式の空売りをしていたことが明らかとなった。
報告書によるとリーマンブラザーズは堀江貴文ライブドア社長からライブドア株約4600万株を借り入れる契約を行い、その内の890万株を10日付けで売却(空売り)していた。
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この記事を受けて、18日のライブドア株式はパニック売り。33円、約10%値下がりしました。ストップ安の直前ですね。
で、株価はこのまま157円までまっさかさま、というのが一般的な解釈。
一方、私はこのシリーズの(3)で「ライブドア株価は下がっています。。ただ、下げ止まるのも時間の問題だと思います。」と書きました。説明しますね。
まず、リーマン・ブラザーズ証券と堀江氏の株の賃借契約について。上記の一般的な解釈はあまりに分かりやすく、単純な解釈ですが、堀江氏から見てみた場合、自社の株式を空売りされて、ドンドン株価が下がっていくために、わざわざ自分の保有する株式をリーマンに貸し出すでしょうか?「株主重視の経営」をうたっている経営者として、それはあまりに愚行ではないでしょうか?しかも、それをわざわざプレスリリースに書くわけです。辣腕経営者らしからぬ行為ですよね。どうしても他の理由があったと思わざるを得ないのは私だけでしょうか。
一方で、リーマン・ブラザーズ証券会社。一部ブログなどで「ハゲタカファンド」と呼ばれたりしているようですが(笑)、ウォール街屈指の
投資銀行です。売上高は野村證券と同じ規模。一方、野村とは異なり、個人向けの商売はしていません。したがって、収益源は企業の資金調達(株式、債券、転換社債の引受業務)やM&Aアドバイザリー、そしてセールス、
トレーディングなどです。つまり、今回の転換社債の引受のような業務が同社の収益源としては非常に重要なのです。
投資銀行が転換社債を引き受けるとき、一番の成功案件は、引受後にあまり株価が下がらない案件です。転換社債は潜在株式が増えるので、一般的には株価の引き下げ要因となります。しかも、その資金使途が明確でない場合は株価は通常下がります。
その意味、リーマン・ブラザーズ証券会社にとってはライブドアの株価がドンドン下がっていくのはあまり好ましくないです。なぜなら、その転換社債は「失敗案件」とレッテルが貼られてしまい、今後、他の企業から転換社債を引き受けるにはマイナスとなるからです。
であれば、リーマンが積極的にライブドアの株価引き下げのために空売りをしまくる、というのはちょっと腑に落ちませんね。一部の指摘のとおり、リーマンがハゲタカファンドであればそれもありかもしれませんが、全世界で業務を行う伝統ある投資銀行が今後の全世界での転換社債の引受に悪影響を与えるような行為をするとはあまり思えません。
でも、彼らが堀江氏からライブドア株式を借りて、空売りをしたのは事実です。では、この空売りは利益を出すのが目的なのでしょうか?
空売りは、あとでその分を買い戻すのが通常です。株を安値で買い戻すともちろんリーマンとしては利益が出ますが、副次産物としては、ライブドアの株価を下支えすることになります。
ただ、あくまでそれは「結果として株価の下支えになるだけであり、株価の下支えが目的ではない」のです。株価の下支えが目的だと株価操作で法律に抵触してしまいます。あくまで、結果として、なのです。では、目的は何かというと、表向きは利益目的、なのでしょうね。そうすると、メディアの言うとおり「リーマンが巨額の利益を目的として・・・」ということになるのですが。。。
実は転換社債の発行には必ず貸し株がつきものです。転換社債を引き受けるとき、主幹事証券会社はその会社の株式がどれぐらい借りられるか
チェックします。借株の量が少ないと、転換社債を引き受けることはできません。これはあまり知られていない事実ですが。。。
一方で、株価操作は法律で禁じられています。ので、リーマンの空売りは「ライブドア株価を支えるため、株価の安定のため」とは対外的には言えません。それは「法律違反をします」と言うのと同じことなので。したがって、ライブドアもリーマンも対外的には沈黙しています。他の証券会社、投資銀行もこの点は沈黙していますよね。
転換社債を引き受けるときは、このように貸し株市場から株を借りてくることがマストになってきますが、おそらく今回のライブドアの件では貸し株市場から株を借りてくるだけでは足らないということで、堀江氏からリーマンが4,600万株を借りる、という契約を事前に取り交わしたのだと思います。
今回の案件では、貸し株市場からの借株だけではまかなえない分を堀江氏がリーマンに株を貸して、空売りし、その後、株を買い戻すことで自社株を買い支えることが目的となります。
案件発表後の8日間で、ライブドア株式は合計で45,000万株程度の出来高となりました。リーマンは堀江氏から合計で4,600万株借りれることになっていますので、これら全部を空売りしていたとしても、それら出来高の10%にも及びません。したがって、ライブドアの貸し株市場がどれくらいの規模かが分からないですが、売りの結構大きな部分は他の投資家(特に個人投資家)からの生株の売却の可能性が高いです。
売るべき人たちは売っちゃった、と考えると、これ以上の株価の下落はあまり想定できないと思います。
つまり、ライブドア株の空売りはリーマンはそろそろおしまいで、買い戻すことになるでしょう。したがって、今週のライブドアの株価は下げ渋ると思われます。
これが私が株価が下げとまるのは時間の問題、と言った理由です。
あ〜、言い切っちゃったなあ。。。日本一売買高のある株式だけに、セオリーどおりにいくか、ちょっと不安なんですけどね(笑、汗)