「こうやっていただく名刺の向こう側にウォール街が見えるんです!私はそこで働きたいんです!」
私は絶叫に近い形で訴えていました。リーマン・
ブラザーズでの最終面接でした。そして、面接をしていた
投資銀行本部のヘッドは静かに言いました。
「あなたは、いづれこの業界で働くことになるでしょうね・・・」
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やっとこのシリーズ、最後の書き込みです。単純に今
就職活動をしている学生の皆様にエールを送りたい、というだけで始めたのですが、意外と長くなってしまいました。
さて、リーマン・ブラザーズの最終面接に挑みました。投資銀行への憧れと「絶対に入りたい」という感情を確認した後だったので、妙に興奮していました。
そして、最終面接。アークヒルズ36階の
コーナーにある小部屋。一般家庭のリビングルームほどの広さがある部屋にヘッドはいました。そして面接が始まりました。と、すぐに秘書が彼に外線電話がかかってきたことを告げます。
「Hi, this is...」
そういって彼は受話器を取って会話を始めました。海外の
オフィスからの電話のようで
英語で話しています。
「今部屋に外部の人間がいるんだよ。だから、社名などは
イニシャルで話すよ」、と言って10分ぐらい電話をしていました。電話が終わって面接再会です。
「えーっと?なんだっけ?何を聞いたんだっけ?」
と彼が言います。
「まあ、いいや。聞きたいことは3つだけです」
緊張する私。
「まず、あなたって誰?どんな人?」
「次に、どうしてこの業界で働きたいの?」
「で、最後にこの業界でもどうしてうちの会社で働きたいの?」
この瞬間私の中で何かか弾けたのでした。
「なるほど!!今までの面接で受けた全ての質問、全ての会話はこの3点に最終的には集約されていたんだ!」
私は社会人になってから学生を面接するときは、必ずこの3つを意識するように、と学生に言っています。
「私は今からいろんな質問をします。中には?と思う質問もあるかもしれません。でも、全てはこの3つを聞きたいためにいろいろと質問をします。答えに窮したらこの3つのどのカテゴリーに私の質問が属するかを意識すれば自ずと答えは出てきます」と言って学生と面接をするようにしています。話を戻しましょう。
そして彼は続けます。
「3つ目の質問、つまり、どうしてこの業界でもうちの会社か、という質問に対しては、面接を始めた頃であればあまり答えられないかもしれないけど、今は既にいろんな会社での面接なども終えた後だろうから答えられるでしょう。さて、では、一つ目から行きましょうか?あなたってどんな人?」
私は口を開いて話し始めました。
「オッケ。なんとなく分かった。それで一つ目は終了だ。では、二つ目。どうしてこの業界?」
また私は話し始めます。論理立てて慎重に。
「分かった。じゃあ、三つ目だ。どうしてうちの会社?」
私は徐々にノッて来ていました。もうこれが泣いても笑っても最後の面接だということで、半分開き直ったこともありましたが。
「うん、そのとおりだな。同業他社についての見解も大体合っている」
彼の聞きたいことに対しては答えました。今度はこちらがいろいろ質問をしました。そして、時間的にも面接はほぼ終わりに近づいていることが分かりました。もう本当に最後なのです。そこでとっさに私は言います。
「こうやっていただく名刺の向こう側にウォール街が見えるんです!私はそこで働きたいんです!」
私は絶叫に近い形で訴えていました。
しばらくの沈黙の後、彼は言いました。
「あなたは、いづれこの業界で働くことになるでしょうね・・・」
私はこの「いづれ」という台詞が気になっていました。いづれということは、今ではなく、将来のどこかで中途採用という形で業界に入る可能性を指しているのか、他の投資銀行に採用されることを言っているのか、あるいはこの最終面接での結果について言っているのか分かりかねていました。
そして面接が終わります。最後にヘッドが握手をしてきました。彼の顔をまじまじと見てその握手の真意を測りかねていた私に対して
「あ、これは単純に面接お疲れさま、というだけの意味だよ。お疲れさま」
そして面接は終了。採用担当チームの社員と最後に少し話します。
「どうでしたか?」
「悔いはないです。言いたいことは全部言いました。ありがとうございます。」
そして家に帰りました。私は非常にすっきりとしていました。他の投資銀行の最終面接も全て終わっていたので、あとは全部の結果を待つだけ。でも自分の中ではその日の最終面接が自分を完全に出し切ったという満足感があり、
「もう今日の最終面接で落ちた場合は、投資銀行には縁がなかったということだろうから、他の業界に行こう」
と思っていました。
そして、その日の夜、電話がかかってきます。
「保田君、おめでとうございます。あなたにオファーを出すことで決定しました」
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翌週、私は採用担当チームの人たちに連れられて六本木の「鳥長」という焼き鳥屋に行きました。明らかに高そうな店で、メニューに値段がついていないカウンターだけの焼き鳥屋。そこで内定の
お祝いをしてもらいました。
社会人になってから、何度か新卒採用の担当をしてきましたが、自分が担当した学生にオファーが出たとき、または担当した学生が自分の会社ではなく、別の会社への就職が決まったときでも、お祝いにはいつもこの店に学生を連れて行きました。
学生の皆様、就職活動、がんばってください。