インターネット総合研究所が8月に発行したMSCBを期前償還するという記事がありました。「ふ〜ん」というぐらいの記事に思えますが、よく見てみると「8月」に発行。そう、たった先月に発行したものを償還するわけです。
同様にアセット・マネジャーズが7月に発行したMSCBも今月期前償還が決定したとか。
で、期前償還とは?
簡単に言うと買い戻しです。例えば100億円の転換社債を発行していて、50億円分が転換されずに残っていたとします。で、転換社債を発行した企業がその残っている50億円分のものを買い戻すわけです。もともと100億円の調達のために転換社債を発行したわけですが、50億円分を買い戻すと、実質的には50億円しか資金調達をしなかったことになります。
通常は、もともと企業は今後の自社の成長のためには100億円が必要だという予測のもと、100億円分の転換社債を発行するわけです。で、数年経ってみて、事業が思ったよりも好調だった、または、必要だと思っていた投資資金が意外と少なくてすみそう、ってな場合に、「じゃあ、残っている転換社債を期前償還(買戻し)しましょう」、みたいな話が出てきたりするわけです。
このように「思っていたほど資金が必要なくなった」場合に期前償還を行います。ですので、通常は、期前償還がされるとしても1年未満で行われる事はあまりないです。企業経営で、しかも資金ニーズで当初予想を違った局面になるには、最低でも1年ぐらいはかかるでしょうしね。
もう1つのケースは金利下降局面や為替下降局面での期前償還です。
例えば、5年前に以下のような社債を発行していた企業がいたとします。
発行金額:100億円
金利:年率10%
で、同じ企業が今100億円分の社債を発行しようとすると、5年前よりも金利が下がっているので、2%の金利で社債が発行できたとします。すると、その企業は5年前に発行した金利10%の社債をそのままにしておくよりは、とりあえずその社債を買い戻して、新たに金利2%で発行しなおしたほうがずっとお得!ですよね。
または、こんな例でも期前償還が有利です。例えば、5年前にドル建て社債1億ドル分を発行した企業があったとします。で、その時の為替が1ドルが150円だったとします。つまり、1億ドル分の社債発行で日本円にして150億円分の資金調達をするわけです。
発行金額:1億ドル(150億円)
金利:年率5%
5年前と今では金利が変わっていなくても、為替が1ドル100円になっていたとすると、その企業がこのドル建て社債を今全額買い戻すと、ドル建てでは同じ1億ドルを支払うわけですが、それは日本円では100億円となりますので、実質的に150億円−100億円=50億円をタダで手に入れるわけです。
これらのようなケースでは期前償還をすることがあります。
で、今回のインターネット総研、アセット・マネジャーズのMSCBの期前償還。発行から償還決定までわずか1〜2ヶ月。お粗末な印象はぬぐえません。
そもそもたったの数ヶ月で買い戻すぐらいなら最初から発行しなければ良かった、または、発行金額を低くすれば良かったのでは?と思わざるを得ないです。もしかするとゼロ金利、手数料ゼロの資金調達手段であるMSCBを「ワーイ」というノリで発行しちゃったのかもしれませんが、MSCBはあくまでも株式性の資金調達ですので、その資本コストは実質的には高いものです。
たったの数ヶ月でころころと資本政策が変わると投資家は迷惑ですよね。
このブログを書くのに思いがけず時間がかかったので とりあえず出社の用意しないと…
この問題、資本コストなど含めてもう少し週末に書きますね。期前償還はコールオプションやプットオプションのお勉強への導入としてはいい例ですしね。







