ってか、そもそもこのエントリーを一番最初にあげておくべきでしたね。投資組合が何かが最初から分かっていれば、今回の件、もっと早く理解できたのに!って人が多いかも。。
今回のライブドアの件ですが、全体図はこうでした。もう何度も使っている図で恐縮ですが、おさらいですので。

で、ここで投資組合ってありますが、投資事業組合とも呼ばれますし、組合とだけ呼ばれることもありますし、投資ファンドと呼ばれることもあります。まあ、細かいことは置いておいてどれも同じと考えてください。で、簡単なスキームはこんな感じです。

その名の通りなのですが、投資事業組合とは投資をするための組合なのです。お金を持っていて運用したいなと思っている人が、お金の運用のうまい人にお金を預けて運用してもらうわけです。で、運用者は運用手数料として、組合またはファンドの総額の数パーセントを収入として得ます。
お金を預けるに当たってはその運用者がホントにキチンとリターンを出せる形で運用できるの?っていう疑問が普通にわきますので、通常は運用者は「この組合の特徴」みたいな形で、運用対象商品(株、債券、不動産、為替)、投資対象業界、投資対象企業の規模、目標年率リターンなどを事前に出資者に説明します。
例えば、食品業界出身の人が、食品業界の上場企業株式をターゲットとしたファンドを運用するとかだと、「おお〜、あいつは食品のプロだから、食品株の運用ならやつに任せるのがよさそうだ」とかになりますよね。
一方で、食品業界出身の人が「不動産に投資をする組合を始めますので、出資してください」と言ったところで、「いやいや、あんたよりも不動産に詳しい人はたくさん他にいるから遠慮するよ」ってことになりますね。
ま、こんなのが投資事業組合やら投資ファンドやらの位置づけです。あの村上ファンドもファンドですから基本的な構図はこんな感じです。村上ファンドで運用しているお金は全額村上さんのポケットマネーではなくて、彼もまた同じように出資者から出資してもらい、そのお金を運用するのですね。ですので、よくインタビューとかで「投資家のリターンを最大化することが私の使命」と言っていますが、それは運用者であれば当然のことですね。
で、図では簡素化していますが、組合が無事リターンをあげた場合、運用者は成功報酬として、リターンの20%程度を頂戴したりします。
つまり、資産を運用することを目的とするものが投資組合です。
さて、今回テレビの方や雑誌の方にもよく聞かれたのは、
「投資事業組合をM&Aで使うのは良くあるケースですか?」
ですが、
「一般的には稀です」
というのが答えです。
だって、上記で説明したとおり、投資事業組合はその名の通り、投資を目的としていますし、基本的には資産運用のための組織なのです。一方で、M&Aとは会社がシナジー創出などを行って事業価値を向上させるために戦略的に行うことでして、投資組合とは目的が異なります。
M&Aの目的は二つの会社がひとつになることによって、コスト削減や売り上げ向上を図り、更に企業価値を向上させようというもの。例えば人事部門、経理部門、総務部門などの間接部門の共有化、販路の共有化、お互いの営業マンがお互いの商品を販売する(Cross Sell)など、いろんなことをやって売上向上、経費削減を行って、利益を上げるのがM&Aです。それが目的であれば、わざわざ間に投資組合を介在させる必要性はゼロですね。
報道特集では、M&Aで組合を介在させる取引が増えているというような流れになっていましたが、あまり正確ではありません。例えばアパレルのワールドや飲料メーカーのポッカが昨年MBOをし、上場廃止になったのは皆さんの記憶に新しいかと思いますが、ああいうケースは確かに投資ファンドが介在します。ただし、あれは、買収者であるファンドは将来株式を売却することを前提として投資していますし、投資ファンドと買収先のシナジーの追求、とかではないのですね。つまり、最近元気いっぱいなプライベートエクイティやアクティブ投資ファンドは例外ですね。
最近はこういうファンドによる企業買収が増えていますので、ごっちゃになりがちですが、ファンドが割安だと思った企業の過半数の株式を買って、後に売却するということはありますが、事業会社が自社のM&Aのためにわざわざ投資組合やファンドをかませるか、というとそれはメリットがそもそもないですし、稀です。議論が混乱するといけないので、その点はご注意ください。
あとは、補足ですが、上記の投資事業組合の説明でもまだピンと来ない、という場合は、こんな説明のほうがわかりやすいかもしれません。
例えば、証券会社に口座をお持ちの方ならよくいろんなお知らせが証券会社から送られてくると思いますが、中に「中期国債ファンド」とか「○○投資信託のご案内」とかありますよね?あれも広義の意味で投資組合です。ま、この場合はファンドですが。パンフレットを見ると、一口10万円から、とかって書いてありますよね。
われわれ一般投資家は一口10万円でお金を証券会社に預けます。で、運用の「プロ」である証券会社がそうやって集めたたくさんのお金を1つのファンドとして運用します。例えば、私が10万円だけで運用する場合は、たくさんの株式は買えないですし、そもそも株式投資のプロでないので、損するかもしれないです。つまり、うまく運用できないんですよね。
そこに「ハイハイ、わたくしが資産運用のプロでございます」みたいな人が登場し、「ちょっとだけ手数料を払ってくれれば、あなたの資産を運用しますよ〜。私が今までに投資した実績は年率10%ものリターンを上げております」みたいなことを言ってくるわけです。すると、普通の人なら「おお〜、それはすごい。じゃあ、私の資産も運用してよ」ってことになりますよね。ま、このケースも投資ファンドですので、私たちは知らない間にそういう存在を利用していることとなります。
あと、組合って、そもそも聞きなれないな、って思うと思いますが、おそらく皆さんにとって一番身近な組合は労働組合。あとは、生協。生協の白石さんの生協ですね。会社ではないけれども、概念としてある共通のことを目的とする1つの集まり、って感じですよね。それの投資版、と考えていただけると分かりやすいですかね。。。
って、また長くなりました。。まだ我慢できる人は以下もどうぞ。
で、今回の組合は匿名組合とも紹介されていますが、投資組合は簡単に言うと、出資者が誰か分からないから匿名組合だと思っておいてください。多くの場合、運用者は誰かは分かりますよね。だって、誰が運用者か分からないと出資できないですし。ただし、出資者が他に誰が出資者になっているかは運用者に聞かないと分からないですし、その組合に誰が出資しているかは外部からは分からないものです。
例えば私が、どこかの証券会社の投資信託ファンドを一口10万円分買った場合、「品川区の保田隆明が当投資信託ファンドに投資しました」なんて個人情報は出されたくないわけですしね。
で、投資事業組合が何かってのは分かったけど、それで今回のライブドアの件、何をもめているのよ、ということですが、ライブドアはあくまで運用のプロに自分たちの資産運用を任せたわけです。で、「勝手に」運用者がマネーライフが魅力的だと思って投資をしたのです。あくまで投資目的として。
で、その後「偶然」ライブドアマーケティングがマネーライフを魅力的な会社だと思ってM&Aを行った。その後、株式分割の効果などもあって自社株価が上がり、その結果、「偶然」ライブドアに利益が転がり込んだ、ということです。
ですので、これが仕組まれていたのであれば、問題あり、ホントに偶然なのであれば問題なし、ってことですね。ま、詳細はこちらで書きましたので、ご興味ある方はどうぞ。で、その発展版などは、こちらで書いています。うーん、やっぱり書く順番が逆だっでしたね。
ライブドアの件は、おそらくライブドアとマネーライフとの間に介在していた投資事業組合が、マネーライフ以外の株式に投資するなどのキチンとした投資業を本当に行っていたかどうかが鍵になるかな、と思います。









毎回綺麗な図とわかりやすい解説をありがとうございます。どの記事よりもわかりやすい解説だと思いながら読んでおります。
解説だけでなく、毎回綺麗な図だと感心しながら見ているのですが、この図はどのソフトウェアで作成されているのでしょうか。もし可能でしたらお答えの程、宜しくお願いいたします。
パワーポイントで作成しています〜
なるほど〜。パワーポイントでしたか。
これからも様々な記事に期待しております。
今後も宜しくお願いいたします。