なのに、どうしてこんな騒ぎに…?
キーワードは不動産とモーニング娘。です、ハイ。
簡単に言うと、村上ファンドは阪神グループの隠れた価値を見出したので、投資をしたということになります。株式市場では「Hidden Valueを顕在化させる」と表現したりします。別に村上さんが阪神の年狂的なファンなので球団を私物化したいとかそういう理由ではなく、彼はファンドマネージャーなので、その狙いは
−単純に株価が割安だった
ということに尽きるのではないかと思っています。何をもってして割安かと言うと、
−不動産の含み益価値
−阪神タイガースのブランド価値
の2点が大きいわけです。
まず、今回の阪神電鉄の株式取得の際に参考となるのは、村上ファンドによる西武鉄道に対する買収提案です。西武グループが持っている不動産だけでも相当の価値がある、ということで、村上ファンドは西武鉄道の買収に名乗りを上げています。今回の阪神電鉄も同じですね。西武、阪神に限らず電鉄会社は多くの不動産を保有していて、含み益が存在するところも多く、その価値をうまく活用できていない遊休地もあるでしょうから、それらの積極活用を行えばもっと事業価値は高いはず、という考えかと思います。
つまり、簡単に言うと「株式市場は、阪神が保有する不動産の価値を正当に評価していない(株価に反映されていない)ので、割安。だから株式を買うんだ」ということになるでしょう。
西武と阪神という同じ鉄道会社、しかも、両社ともライオンズとタイガースというプロ野球球団を抱えていますが、西武鉄道に対して村上ファンドが買収提案をした時と、今回の阪神株式取得時では、一般の人たちの関心度合い、騒ぎ度合いは、今回の阪神の時の方が100倍ぐらい高いですよね?どうしてでしょうか?
西武の時はあくまで提案であって、今回の阪神の場合は実際に株式を38%をも取得済みという違いはありますが、それよりも一番の理由は、「それだけ阪神は話題性が高い、つまり、阪神のブランド価値が高い!」のです。
ということで、村上ファンドが阪神株式を取得した二つ目の理由の「阪神ブランド」の価値に話を移します。
タイガースのブランド価値は、先日のスポーツ雑誌「Number」の中で星野元監督も言っていましたが、「タイガースブランドの価値に本社が気付いていない」ということだと思います。このブランドをもっと多元的に活用すればグループ全体の事業価値は上がる、ということだと思います。
さあ、ここで登場するのが、モーニング娘。です。
モームスは人気アイドルグループですが、かつては私も大好きな後藤真希(ゴマキ)がメンバーでした。
うん、やっぱりかわいい。。
彼女がモーニング娘。にいたときにモームスが年間で10億円稼いでいたとします。もしゴマキがモームスにいなかったら、モームスはいくらぐらいを稼いでいたでしょう?と考えてみます。おそらく若干のネガティブインパクトはあるでしょうから、ゴマキがいないモームスは9億円にを稼いだと仮定しましょう。
一方で、ゴマキはモームスの中でも超人気だったので、このゴマキをソロデビューさせるともっと人気が出てめちゃくちゃ稼ぎそう、ということも想像できました。例えばゴマキが5億円を稼げそう、ということであれば、ゴマキを外出しにした方が、全体として稼ぐ金額は高くなるわけです。つまりこうですね。
−ゴマキがいたモーニング娘。の稼ぐ金額:10億円
−ゴマキ抜きのモーニング娘。の稼ぐ金額:9億円+ゴマキがソロで稼ぐ金額:5億円=14億円
明らかに14億円の方が魅力的、ですよね。
ということで、阪神の場合も球団をソロデビュー(株式上場)させましょう、ということです。
おいおい、そんな人をバカにしたような解説をするな、という声も聞こえてきそうなので、もう1つの事例を。
イトーヨーカ堂がセブンイレブンという子会社を上場させ、その高い価値を市場で認識させていました。
セブンが上場していなかった時代、つまりヨーカ堂の中に埋れていた時代は、セブン個別の事業価値がいくらかというところになかなか陽が当たらないのですが、上場をさせて、単独でフォーカスを当てるとその事業の価値がよく認識できます。結果として、セブンイレブンの時価総額はヨーカ堂の時価総額を上回っていたわけです。
タイガース球団が上場するとどれぐらいの価値がつくのかは分かりませんが、少なくとも阪神電鉄の中で埋もれてその価値が分からない状態よりは、キチンと市場で価値が認識されたほうが高い価値がつくと思われます。そして、今の阪神電鉄の時価総額よりは、球団上場後の阪神電鉄の時価総額と球団の時価総額の合計金額の方が高くなろうである事は想像に容易だと思います。
ヨーカ堂は、今年セブンを再度100%子会社化し、非上場化して、完全にヨーカ堂内部に取り込みました。内部に取り込むに当たっては、市場に対して、「我々はこんなに事業価値の高いセブンを完全に内部に取り込みます!」というメッセージを市場に発信したわけです。このように、ヨーカ堂は結果として、ヨーカ堂グループ全体の時価総額を高めたわけです。まあ、実態的には親子間で時価総額が逆転していましたので、それの是正など、いろんな意味合いが合ったと思いますが。
阪神でも同じようなことが言えるだろう、というのが村上ファンドの言いたいことですね。今の阪神タイガースは人気があるけども、収益という意味ではもっともっとうまく活用できるはず、ということですね。とりあえずは単体として切り出して上場させて、収益性を高めてタイガースの事業価値を認識させる。その後は球団の上場を続けてもいいし、再び100%子会社化をして非上場化してもよし。一番重要なのは一度球団の価値を市場でつけて、阪神グループの価値を顕在化させて、グループ全体の事業価値を高める(顕在化させる)ことでしょうね。
ただ、1つ疑問なのは、阪神タイガースは上場しても資金調達ニーズがあるのかどうか、ということと、敵対的買収をされてしまうのではないかということです。資金調達ニーズがない企業に対しては村上ファンドは「上場をやめちまえ〜」というようなメッセージを送ることもありますので、そのメッセージと上場提案とはもしかすると矛盾するかな?と思ったり。敵対的買収に対しては阪神電鉄が上場後も引き続き50%以上、もしくは2/3以上の持分をキープしておけばいいわけですが、親会社が過半数の株式を保有するような企業の上場にも村上ファンドは今までどちらかというと否定的でしたし、その意味でも矛盾しちゃうかも。。。
となると、今までの村上ファンドの行動との整合性の意味では、こんなシナリオになるのかな?
−阪神タイガースを上場
−上場することにより、阪神電鉄には多額のキャピタルゲインが発生(阪神電鉄の株主である村上ファンドも儲かる)
−上場後は親会社の阪神電鉄は過半数以上の株式を持たない
−大株主がいなくなると、阪神タイガースに対する敵対的買収が起こっても仕方がない:それが株式市場だ
−阪神タイガースに対して敵対的買収がかけられて、タイガース株価が急騰
−敵対的買収合戦の結果、タイガースが誰かに高値で買収される
−つまり、阪神電鉄はタイガース株式を高値で売却することになり、電鉄の株主の村上ファンドも儲かる
なんて流れになるのでしょうかね?ま、これは極端なシナリオですが、虎キチにしてみると「村上ファンド許せ〜ん!」なんて声が高まってしまいそう… まだ今後もいろんな憶測を呼びそうですね。
また週末までには今回の案件のテクニカルな側面を書いてみようと思います。
うふふ。でもこうやって、企業のコーポレートファンナンス案件の時にモーニング娘。の事例を活用しならが解説するときが一番楽しいです。
【村上ファンドと阪神の最新記事】









と言った心境でしょうか(笑)
とても楽しいエントリーでした。
そして深い!自社を見つめ直しちゃいました。
個人の価値を最大限に高めて上げているだろうか?一部の人間で持っている会社になっていないか?
考えちゃいました。
旅行お気を付けて!
確かに資金需要が無い阪神球団が上場してもなんの意味も無いし、裏金の多い業界なので、電通のように「弊社は慣習上、契約書を締結しないことが多いです」と目論見書に書くわけにも行かず、上場審査を通すのが難しそうですけどね。
きっと、リゾート大好きなGSさんあたりが裏にいるのでは無いでしょうかね。。。
時事ネタに対し、毎回、すごくわかりやすい解説をしてくださるので、とてもありがたいです^^
阪神球団の上場ばかり取り上げられていますが、MACファンドが企業価値向上と言って提案している(する)のは、LBO(MBO)じゃないでしょうか。株を買い進めたこともそうですし、鉄道会社の安定的なCash FlowはLBO向きですし。ただ、現状、有利子負債が多いので、阪神球団の上場やら遊休不動産の処分、保有資産の証券化やらでLBO後、即借金返済をする必要がありますが(だから逆に提案したともとれる)。MACファンドとしては株を高く買い取ってもらえればOKなので、MBOを提案して非公開化時に手持ち株を買い取ってもらうんでしょうね。これだと38%もの大量の株のExitとしては比較的容易ですし、経営には関与しない、純投資だ、という説明とも整合性が取れる。
そう考えてみると今回のDealは違った角度から見れる気がします。
thank you for your comments. okage samade, i am enjoying my trip to Greece.
miz-san
yes, Dentsu had the same problem, desune... companies should re-consider the purpose of listing their stocks, desuyone.
senko-san
thank you for buying my book. i hope you enjoy it... let me know if you have any comments, advice, criticism, etc..
MA Advisor san
yes, i agree with your comments. it would be just tiny in terms of ecnomics/market cap even if Tigers go public. if that was the only idea that Mr. Murakami had, he would not have bought that much of stocks of Hanshin. i am looking forward what to come next :)